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zoom RSS シーシェパードの正体

<<   作成日時 : 2010/06/13 11:10   >>

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■高レベルで圧倒的な情報量

 一読すれば分かるように圧倒的な情報量である。また情報のレベルが高い。

 例えばシーシェパードの収支報告書の分析からカネの流れを突き止めること。1980年代、壱岐でシーシェパードが起こした反イルカキャンペーンについて、70年代の背景からきちんと説明していくこと。ポールワトソンの著作『Earthforce!』から、彼のメディア戦術の核となる考えを引っ張ってくること。

 本書がやりとげた成果をこのように書くのは一瞬だが、これらは恐ろしく地味で、極度の忍耐力を要する仕事である。特にワトソンの著作の分析など、当方も似たような作業をしたことがあるので、少しは理解できるが、プロパガンダという「ガラクタ」の山から、ホントにあるのかどうかも分からない「砂金」を拾うような作業なのだ。おそらくワトソンの本を300ページ読んでも、シーシェパードを客観的に理解するために使い物になるのは10ページもない。まさに1冊読んで、結局はゴミだった、という世界である。この一点だけでも本著は大変な仕事なのである。

 また見落とせないのは、著者が、シーシェパードの「未来」について考察していることだ。つまりワトソン以後、という問題である。ワトソンを第一世代とすると、そのワトソンの言葉を文字通り受け取り、彼にあこがれて入ってきた第二世代は、かなり気質が違う。ワトソンにとって〈ネタ〉だったことが、若い世代にとっては〈ベタ〉になってしまう。ワトソンが、何だかんだいって寸止めにしていた部分を、純粋培養されたシーシェパード新世代は無邪気に乗り越えかねない。

 こうしたシーシェパードの世代間での変質は見えづらい。しかしその微細な変化の兆しを、著者は拾っていく。ワトソンの格言を胸に、カメラの前で配役を忠実に演じるベスーンの姿や、日本人メンバー、マリコのある種の純粋さの中にそれを見ていく。このミクロな視線。本書の白眉はここにあると考える。(浜野喬士桐生大学講師)

平成22年6月13日午前11時10分

『シーシェパードの正体』佐々木正明(扶桑社798円)

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